医療機関という職場は、
人の命を預かるため、
緊張感が高くなりやすい場所です。

医療職は高い能力や知識、体力が必要になるため、
ストレスのたまりやすい仕事だともいえます。

そのため、このようなストレスは
病院内の人間関係、患者さんの対応など、
多くの人に影響を与えます。

そこで問題となっているのは、
病院内のパワハラです。

一般的な職場に比べて、
他人への指導も厳しくなりがちです。
また、医師・看護師・医療事務など
病院内の地位もはっきりしています。

しかし、
クリニックを経営する側からいえば、
パワハラなどの問題は
起こらないようにしたいもの。

では、具体的に
どのような対策が
必要となっていくのでしょうか?

パワハラについて改めて考えていきましょう。

パワハラとは?

パワハラとは、
「同じ職場で働く者に対して、
職務上の地位や人間関係などの
職場内の優位性を背景に、
業務の適正な範囲を超えて、
精神的・身体的苦痛を与える又は
職場環境を悪化させる行為

のことを指します。

「パワハラとはどこまでをいうの?」

と悩んだことがある方もいるかもしれません。

例えば、
患者さんや他の職員の前で
大声を出してどなったりするのは
あきらかにパワハラだといえるでしょう。
では、
具体的にどのようなパワハラが
あるのでしょうか?

医療現場で起きやすいパワハラとは

医療現場は、緊張する場面が多いため、
部下や同僚に強くあたってしまうこともあります。
それでは、
具体的にどのような場面がパワハラなのか、
上司も部下も知っておくことが必要です。

身体への影響

パワハラのひとつには、
暴行・傷害など
「身体への影響」があります。

例えば、

  • 足を蹴る
  • 頭をなぐられる
  • 髪の毛をひっぱられたりする

などです。
これらの行為は
傷害罪や暴行罪になる可能性があります。

精神的な影響

パワハラで特に多いのは、精神的な影響です。

  • 脅迫
  • 名誉毀損
  • 侮辱
  • ひどい暴言

などがあります。

例えば、
患者さんや職員の前で、

  • 身体的な特徴などを言葉にする
  • 罵声を浴びせる

といった場合です。

言葉の暴力は、
言っている本人は気がついていない場合も
ありますので、
当事者だけでなく、
周りにいる人も意識しておくと
働きやすい環境の構築に繋がるかもしれません。

人間関係

医療現場だけでなく、
仕事を辞める原因で多いのは人間関係です。

具体的な例としては

  • 隔離
  • 仲間外し
  • 無視

などがあります。

例えば、

「看護師なのに患者さんの前に立たせてくれない」
「受付事務なのに別の部屋で違う作業をする」

などは隔離に値します。

また、わかりやすいのは、
仲間外しや無視です。

例えば、

「勉強会などの行事があるのに連絡がない」
「自分だけ資料を配ってくれない」

などがあります。
このようなことが続けば、
業務にも支障をきたします。

過大・過小な要求

患者の人数が多い医療機関では、
スタッフが足りない場合も多く、
過剰な仕事を押し付けられることもあります。

例えば、
医療機関によっては、

「看護師なのに
看護師以外の作業を押し付けられる」

という場面も少なくありません。

もちろん、人数が足りなければ
お互いに助け合うことは必要です。

ただし、それも度が過ぎてしまえば
過大な要求とみなされてしまいます。

逆に、

  • 仕事を与えない
  • 仕事を減らす

といった行為は過小な要求です。

例えば、

「ある人は動作が遅いから、
ある仕事は任せられない」

ということがあります。

このようなことが続けば、
過小な要求を求められた職員だけでなく、
仕事が偏ってしまうため
他の職員からも不満がつのります。

プライベートの侵害

上司や同僚などから、
プライベートについていろいろ聞かれるのも
パワハラにとらえられる場合があります。

また、
家族構成について詳しく聞かれたりすることを
好まない人もいます。

例えば、

「子どもはいるの?」
「ご主人はどんな人?」

など
親しい友人であれば問題ありませんが、
上司などにいろいろ聞かれると
聞かれた方は答えなければならない気持ちに
なってしまうかもしれません。

自分が聞かれてどう思うかではなく、

「こういうことを聞かれるのは
嫌な人がいるかも?」

と一歩立ち止まって考えてみては
いかがでしょうか。

パワハラを起こさないためには

普段から

「部下や同僚などと接している行動が、
パワハラにならないか?」

意識することは非常に大切なことだと思います。

これまでに紹介したことを、
部下や同僚などに指示したりしていませんか?

当たり前のことだと思っていることが、
指示を受けた人には
精神的に重くのしかかっているかもしれません。

もちろん、

  • 暴行したことがない
  • 暴言は発したことがない

といった方もいるでしょう。

部下や同僚に注意したいときは、
言葉を選んで話し合うことが必要です。

また、
患者さんや職員の前で注意したり、
命令のようなきつい言葉で
指示したりしないことも大切です。

注意されたことに理由があるのであれば、
話し合いができるような環境を
持つことも必要です。

パワハラを受けている方の対処法

パワハラを止めてもらえない場合は、
労働局・弁護士などに相談する方法もあります。

一番簡単なのは、
その職場を辞めてしまうことなのかもしれません。
特に人間関係は、
簡単に解決できない場合がほとんどです。

しかし、
どうしても働いている職場を
辞めたくない方もいるでしょう。

そのような場合は、
思い切って上司に相談することも必要です。
パワハラをしている人ではなく、
その上の上司や、同僚に話をするだけでも
解決に導く場合があります。

まずは、

  • ひとりで悩まない
  • だれかに相談する

ということが大切になってくるでしょう。

参考資料

職場のハラスメント対策-パワハラを中心に-
(参照:https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/h301226-2.pdf