令和4年はようやく、
過去数年のコロナ禍の被害から
社会全体が立ち直る、
そんな1年になるかもしれません。

アンチエイジング診療においても
この春から
新たにスタッフを増やすというケースは
多いのではないでしょうか? 

ところで、
せっかく入職してきた人材は
絶対に失いたくないものです。

しかし若い世代は、
あっさりと辞職してしまう傾向もあって、
扱いが簡単ではありません……。

特に厄介なのは
患者さんへの接遇を間違ってしまい、
気に病んでしまうことです。

この問題は昔からありましたが、
今回は最新の状況も交えながら
どうやって解決を目指すべきなのか
考察してみました。

クレーム予防において大事な着眼点

患者の考えることは十人十色です。

そのすべてに対応するのは至難の業ですが、
普段からの努力でかなりの予防を
実現できることもまた事実でしょう。

見た目の印象

「見た目の印象は接遇には
 関係ないのではないか?」

という意見もあるでしょう。

とはいえ、
個人の第一印象は見た目に大きく左右されます。

まず、医療は清潔感第一のため、
その点で非の打ちどころがない
装いをする必要があります。

その一報で、
アンチエイジング診療である点も
注意が必要です。

例えば、
美容診療であれば院長やスタッフは
ある程度華やかさや洗練された雰囲気を
醸し出したほうが
患者からの印象は自然とアップすることでしょう

もちろん医療の現場である以上
華美にしすぎてもいけないため
適度なバランスが必要です。

というわけで、
見た目の印象だけで患者からの反応が
大きく変わることは忘れてはいけません。

患者に寄り添う態度

新人のうちはこの点を
うまく意識できないことが多々あるかと思います。

医療の場合、
訪問客である患者は何かしらの不安を
抱えているものです。

健康の維持に直結する保険診療と比べ、
アンチエイジング診療の患者は
深刻な体調でないこともあります。

自由診療が主体となる分、
代わりに出費等の面での不安が出てくる
傾向は強いでしょう。

これは経験を積んで慣れてもらうしかないですが

「独りよがりの対応は絶対にしない」
「常に、相手の心境を思いやりつつ対応する」

このようなことなどを意識してもらいましょう。

患者がよく抱えている悩みがどんなものなのかは
ミーティング等で前もって認識を
共有したほうが良いでしょう。

そうすることによって、
全スタッフが配慮できるようになります。

正確な聞き取りと受け答え

新人のスタッフが患者さんの話を
正確に聞き取り、適切な受け答えをすることは
簡単に実現できるとは限りません。

経験を積んだベテランでも、
時には失敗するくらいですし、
新人の場合なら、
人一倍細やかなコミュニケーションを
心掛けてもらうべきでしょう。

だからといって、
患者との会話に時間をかけすぎるわけにも
いかないのですが、
それでも慣れないうちは、
患者さんの言葉を正確に聞き取ることに
慎重になってもらうしかありません。

患者さんの言葉にはっきりしない点があれば
遠慮せずに再説明を求めてもらってよいでしょう。

そして患者側に
話した内容がきちんと伝わっていなさそうに
思えたときは、
スタッフ側からためらわずに再説明に入るように
お願いしてもOKでしょう

もちろんこの手は裏目に出ることはあります。
患者側からすると、
しつこいスタッフだと思われるリスクはありますが
むしろ、はっきりと伝わらなかったときに
残るリスクのほうを重視すべきでは
ないでしょうか。

ここ最近の新型コロナ肺炎の影響に関して

コロナ禍のため、
院内では誰もがマスクやフェイスシールドを
装着していますが
これが聞き取りづらさを増してしまう
ケースがあります。

この数年間に社会に出た新人の場合は
コロナ禍で学業にも就職にも悪
影響を受けています。

このように
社会に出て間もないスタッフの
スキル不足を放置しておくと
五月病や六月病に陥らせてしまう
恐れが出てきます。

対策としては、

  • マスク越しでも問題ないように、
    やや大きな声で、ややゆっくりと
    話すようにしてもらう
  • 敬語の使い方や電話の応答、といった
    患者接遇の基礎に時間をかけて指導する

といった内容が有効でしょう。

電話の応答に関しては、
トークスクリプト等を交えた
マニュアルを作成・配布することで
トラブルを未然に
防ぐことが出来るかもしれません。

また、敬語に関しては
新人に対してはできるだけ
正確な使用を求めたほうが安全でしょう。

「神経質になりすぎるのもよくない」

という意見もありますが、
若い世代に多い敬語の間違いは、
最初のうちは徹底した指導を目指すに
越したことはありません。

そして、スクリプトやマニュアルに関しては
患者からのクレームが出たときは、
速やかにその対策となる内容を
追記するべきでしょう。

最初は手がかかるかもしれませんが、
苦情を防ぐ上では
こうした地道な取り組みをすることが大切です。

慣れない新人をじっくりと育てるつもりで、接遇の指導を

患者接遇とは本来、
斬新な解決方法が見つかるような
ものではないでしょう。

今では患者からの信頼を勝ち得ている
ベテランのスタッフでも
最初のころは無数の失敗を重ねているはずです。

それでも、
アンチエイジング診療専門の医療の現場という
独特の環境がもたらす性質を洗い出せば、
新人スタッフへの指導に役立つポイントは
見つかります。

この数年は新型コロナ肺炎の流行もあって
新人スタッフの成長にダメージが出ていますが、
その点に配慮した指導も不可能ではありません。

マニュアルを準備するなどして
トラブルを防ぐ努力を続けましょう。