アンチエイジング診療は、
患者さんからの評判や口コミ
大きく影響してくるかと思います。

スタッフが気を付けるべきマナーも
幅広いですが、話題に出やすいのが
敬語の使い方ではないでしょうか?

「敬語の使い方なんて、
指導されなくても大丈夫」

と、内心思っているスタッフも
少なからず、いるのではないでしょうか。

しかし、意外とベテランでも
敬語の使い方が間違っていることが
多いようです。

また、社会人経験が浅い若い世代の場合は
院内で研修の一環で正確な敬語を
指導する必要性も高いのではないでしょうか。

ということで、今回は敬語について
テーマに取り上げましょう。

二重敬語で、よくある間違い

なんとなく、

「言葉遣いとは、
丁寧であれば丁寧であるほどよい。」

と思い込んでいる方は
どこの業界にも多いのではないでしょうか。

とにかく丁寧にしておけば無難であることは
否めませんが、
敬語が不必要に重なることは
日本語として誤用になる恐れがあります。

たとえば、

・「お~になられますか?」
・「ご~になられますか?」

この2種類を使っている例は、
医療機関でも、他の場所でも
多いかと思います。

しかし両方の敬体表現を
同時に用いる必要性は、
特にないと言われています。

ちなみに、

「~られる」は
敬体としてはどちらかといえば、
軽いほうだといわれています。

患者さんと接するとき、
他の敬体を使える場であれば
あまり使う必要はなさそうです。

また、謙譲語の併用も敬語としては
間違いになることがありますね。

たまに聞くのは

「問診表を、
拝見させていただきましたが、」

といった言い方です。

「拝見する」も「~させていただく」も
謙譲語ですが、
これもまた、
両方を使う必要はないようです。

「問診表を、拝見しましたが、」
「問診表を、読ませていただきましたが、」

のどちらかを使う方がより自然かと思います。

「~を、ちょうだい(頂戴)する」の使い方

患者、または外部の業者や取引先に対して

「~を頂戴いたします」

といった言い方をしたことはありませんか? 

こちらも医療以外の世界でも、
普及していそうな言い方ですね。

たとえば、
初対面の相手から名刺を渡されるとき
「頂戴いたします。」
と口にして受け取っているかもしれません。

この言い方を、
模範的なビジネスマナーとして推奨している企業は
実際のところが多いようです。

しかし、
これも一種の二重敬語にあたるようです。

明らかに目上の相手からであっても、
「頂戴します。」
または
「お預かりします。」
という言い方で問題はないとされています。

ただ最近では、「頂戴いたします」が
世の中に定着しているかと思います。

過度に神経質になる必要はないでしょう。

また、初めての患者の来院時、
または電話の際に、

「お名前を頂戴できますか?」

という言い方があちこちで使われている模様です。

しかし、相手方の名前は聞くものかと思います。

「頂戴する」は、「もらう」の敬体ですから
日本語として不正確と考えられるでしょう。

したがって、

「お名前をお聞かせいただけますか?」

といった言い回しを使うほうが、
より自然ではないでしょうか。

「わかりました」を敬語にしたいとき

「わかりました」を、
礼儀正しく使いたいときは
どんな言い回しがあるでしょうか? 

・承知しました
・了承しました
・了解しました
・かしこまりました

この中で患者さんをはじめ、
外部の方々向けに使うのにふさわしいとされるのは、

「承知しました」
「かしこまりました」

の2通りではないでしょうか。

「了承しました」
「了解しました」

この2つは院外の相手に対して
使ってもよい表現とは、言えないようです。

なぜならば、これらの言葉は
「同僚や部下に対して使う表現」
だとされているからです。

ちなみに「了解しました」は、
本来は「理解しました」というニュアンスです。

「了承しました」は、

「承諾しました」
「OKです」

といったニュアンスが含まれている言葉と
されているようです。

その他、よくある間違い

「お」「ご」のミスは、
二重敬語だけではありません。

「ご自愛ください」
「ご検討ください」

といった言い方の間違いは少ないようですが、

「ご記入してください」
「ご利用してください」

といった言い方なら
よく耳にするかもしれません。

しかし「お」「ご」を使うときは

「~してください」

と言う必要はありません。

「ご記入ください」
「ご利用ください」

というだけでじゅうぶんのようです。

まとめ:よくある敬語の間違い、ときには正確な認識を

敬語の乱れは、完全に修正しようとしても
癖などがあり、なかなか難しいものですね。

しかし乱れを放置しておくと
徐々に崩れていってしまいます。

時間に余裕があるときにでも、
敬語に関して正確な情報を
伝達してもよいでしょう。

資料を作成して、院内に
配布するなどしてはいかがでしょうか。