多くのクリニックでは、看護師の人手不足が
問題となっているようです。

「やっと新しい看護師が来てくれたと
思ったのも束の間、退職の申し出があった」

という先生もいらっしゃるのではないでしょうか。

何が原因なのかがわからないまま、
辞めてしまったという話も聞かれます。

せっかく新しい人が入ったのに、
すぐに辞めてしまうような状況では
クリニック側にも大きな負担が
かかってしまいますよね。

そこで今回は、新人看護師に
長く働いてもらうために、
何ができるかを考えていきましょう。

新人看護師がクリニックを辞めたくなる理由

厚生労働省が発表した新人看護師が
辞める理由は次のようなものがあります。

  • 求めるレベルが高い
  • 思っていたよりも精神的につらい
  • 高い技術を求められる
  • 認められる・ほめられることが少ない
  • 教えてもらえる時間が少ない
  • 不安を感じる場面が多い
  • 看護師の仕事に魅力を感じられない
  • 不規則な勤務体系による負担が大きい

などです。

新卒で就職した看護師の場合、
学生のときに学んだ知識と現場で
働いてからのギャップが大きいのも
ひとつの原因ではないでしょうか。

これらの問題を改善させるためには
現場で様々な取り組みを
行う必要があるかもしれません。

入ってくれた新しい看護師には
やはり多くの期待を寄せてしまいますよね。

「若いからこれくらいすぐに
覚えてくれるのではないか。」

「他の病院でこれだけの経験があるから
任せておいて大丈夫だろう。」

このような思いが、看護師に重圧を
かけているかもしれません。

新人看護師の希望をかなえるためにできること

前章で出てきた、新人看護師が
仕事を辞めたくなる理由をもとに、
長く働き続けたいと思える職場にするためには、
何が必要なのかを考えてみましょう。

教育体制に力を入れる

新人看護師には、できればひとり
担当の看護師をつけてみてはいかがでしょうか。

1人に対し、1人の担当がつくようになれば、
新人看護師がひとりで作業できるようになるまで、
最後までサポートすることが
できるのではないでしょうか。

また、時間がないときは、マニュアルを見れば
わかる状態にしておくことが大切です。

わからないことがあるときは、
すぐに相談できるように
見守っていくことが必要でしょう。

お互いにほめあえる環境をつくる

新人看護師だからといって
特別扱いする必要はないかと思います。

すべてのスタッフに対して、
お互いを褒めあえる環境を
作ってみてはいかがでしょうか。

例えば、

「患者さんが◯◯さんを見ていると
元気になれるって話していたよ。」

「◯◯さんが手伝ってくれたおかげで、
安心して作業ができた。」

などです。

新人看護師は最初のころは
何をするにも自信が持てないことが多いでしょう。

自分の存在を認めてもらうことで、
今後の仕事への自信にも
つながるのではないでしょうか。

「ありがとう」の言葉を忘れない

小さなことでも「ありがとう」を相手に
伝えるようにしてみてはどうでしょうか。

例えば、

  • カルテを持ってきてくれたとき
  • 患者さんに説明してくれたとき

などです。

普段当たり前にしていることでも
「ありがとう」のひとことがあると
誰でも温かい気持ちになれます。

また、患者さんから「ありがとう」の
言葉をかけられることがあります。

このような話もみんなで
共有することにより連帯感がうまれるでしょう。

時間に余裕を持てる勤務体制をつくる

心に余裕がなくなると、
自分の業務だけで
頭の中がいっぱいになってしまうため、
相手の気持ちを考える余裕が
なくなってしまいがちです。

例えば、

  • 診察の終わった患者さんが
    なかなか帰ってくれない
  • 診察中に患者さんの機嫌が
    急に悪くなってしまった

などです。

もちろんこちらに原因がある場合もあります。

このような問題に対応するには、
時間に余裕が必要です。

問題が発生したときは、
解決するための時間を作れるようにしましょう。

個人の専門性をいかした仕事を作る

看護師の中には専門的な知識をもった人がいます。

その知識をいかした仕事を
担ってもらうのもひとつの方法かと思います。

例えば、
皮膚・排泄ケアの認定看護師の資格を
もった人は、
褥瘡のケアやおむつのケアについて
くわしい知識を持っています。

現場の業務に慣れていない看護師でも、
知識の面ではサポートできます。

少しでも自信を持って仕事に取り組めるように、
個人の知識をいかした仕事を
担当してもらうのもいいでしょう。

これまでの業務をもう一度見直す

看護師の作業の中に
無駄な業務がないかを見直してみるのも
1つの手です。

これまでのやり方で、時間がかかる作業が
複雑など不満のある項目をあげます。

作業を見直すことで、働きやすい職場に
近づくことができます。

例えば、打ち合わせが多い、
診察後の片付けに時間がかかるなどです。

残業を減らす、有給休暇をとりやすくする、
待遇を見直すなどについても考える
必要があるかもしれません。

新人看護師の不安を少しでも感じさせない環境づくりを

新人看護師は、どれだけ知識や経験があっても、
新しい職場ではなにもかもが初めてです。

新人看護師が辞める理由をもう一度見直し、
自院で改善できることはないか
もう一度考えてみましょう。

また、新人看護師が落ち着いて
仕事をするためには何が必要なのかを
考えることも必要です。

新人看護師が入ったことで、
あらためて業務を見直すきっかけが
つかめるかもしれません。

参照元:厚生労働省発行:「新人看護職員研修の現状について」
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/04/dl/s0430-7b.pdf