長期的に患者さんに通院してもらうために
他院とは異なる付加価値を
提供できるといいですよね。

患者さんの抱える身体の悩みも
バラバラですが、
長年の生活習慣を改善できれば
自然と解決に向かうケースは
多いかと思います。

とはいえ、
長年の習慣を変えていくことは
すぐにはできないものですよね。

指導内容によっては、
患者さんから反発を買ってしまう
可能性もあります。

これはベテランの医療従事者の
間でも難しい課題でしたが、
近年は、本格的に取り組む医師も
増えて来ているかと思います。

今回は生活習慣の改善を促す方法について
どんなやり方が考えられるのか、
ご案内できればと思います。

生活習慣が改まらない理由

それにしても、世の中の患者さんの
大多数が生活習慣の改善に
失敗する理由は何でしょうか?

禁欲的な生活に耐えられなくなってしまう

とりわけ食生活の改善で失敗するのは、
この理由が大きいと思われます。

飲食は誰にとっても、
いちばん手軽な娯楽かと思います。

これを制限されてしまうと、
思いのほか心理的負担が
激しい人も多いのではないでしょうか。

アルコールやニコチンのような、
それ自体に依存性がある場合は、
さらにハードルが上がることでしょう。

習慣の見直し自体が過酷である

たとえば重度の
メタボリックシンドロームの患者さんは、
運動が必要と診断されても、
すでに気軽に身体を
動かせる状態ではないことが
多いかと思います。

また、多忙な社会人の場合は
時間的にも精神的にも、
余裕がない人も多いかと思います。

このため、つい長年のライフスタイルを
惰性で繰り返してしまう可能性があります。

自身の生き方に口出しをされることに抵抗を覚える

プライドの高い患者さんや
社会的地位のある患者さんの場合、
「その生活習慣は改めないとダメですよ。」
という風に言われるだけで
それまでの人生を否定されるように
感じてしまうかもしれません。

医師ができるだけ丁寧な口調で
伝えていたとしても、
内心で反発を感じている患者さんは
いるかもしれません。

患者さんの行動変容を自然に促すために

患者さんに行動変容を促すには
どうしたらいいのでしょうか?

行動変容の重要性について
できるだけ丁寧に、わかりやすく
説明したいですよね。

ですが、時間には限りがありますし、
思い通りに伝わらないことも
あるかと思います。

この章では、行動変容を促すための説明時に
使ってみていただきたい方法について
ご紹介していきます。

データ等の提示

診断結果やデータを見せながら
説明したほうが、
説得力は生まれやすいです。

とはいえ耳慣れない
専門用語等が多すぎると、
患者さんは興味をなくしてしまう
というデメリットもあるかと思います。

「わかりやすさ」と「専門性」は
両立するとは限りません。

両者のバランスを意識しながら
説明することをおすすめします。

患者さんに対して診断結果を見せるときは、
数字の捉え方が患者さんによって
異なるかと思うので、
その数値が何を意味するのか
説明できるといいですよね。

なかなか習慣を変えない患者さんの場合、
「これくらいの数字
   ならたいしたことないだろう」

と思いこんでしまっている可能性が
あります。

患者さんからのヒアリングの徹底

ドラマなどにも取り上げられているように
インフォームドコンセントの需要は、
高いものかと思います。

とはいえ、
自ら質問しようとしない患者さんも
多いかと思います。

そもそも、患者さんは
「何を質問したらいいのかわからない」
というパターンもあるようです。

患者さんは素人ですし、診療に関して
ひと通りの説明を受けても、
1回や2回の説明では
十分に理解できないことも
あるかと思います。

できれば医師やカウンセラー側から
いろいろと患者さんの状況を、
特に患者さんの日常の問題点を
聞き出すように誘導できるといいですよね。

患者さんの食生活や
毎日のスケジュールをはじめ
行動変容の可能性を探るために
欠かせない質問は、
いくつか見つかるはずです。

患者のモチベーションを適度に刺激するには? 

患者さんの行動変容を
促すことができた後は、
患者さんの改善状況の維持が大切ですよね。

この章では、
患者さんのモチベーション維持に
つながりやすい方法を2つほど
ご紹介します。

行動変容で得られるメリットに気づいてもらう

患者さんの重い腰をあげさせるには、
「ライフスタイルの見直しに
成功した暁にどんな未来が待っているのか」
そこを的確にイメージしてもらうこと
行動変容につながりやすくなります。

患者さんへの説明やヒアリングを通じて、
患者さんの希望や患者が恐れている点を
整理すれば、
見えてくるかもしれません。

たとえば、患者さんに近い将来、
極端に多忙になる予定がある場合には、
生活習慣を変えたほうが、結果的に
「通院でたびたび時間をとられるリスクが
解消される」ことをアピールしてみるのは
いかがでしょうか。

たとえば、患者さんが医療費の
高騰を危惧している場合には、 
生活習慣を変えて健康体を
手に入れたほうが、長い目で見たら
通院コストの節約になることを
アピールしてみてもいいかもしれません。

可能な範囲で目標の設定を提案する

生活習慣を変えるといっても、
患者さんは何から手を出したら
いいのかわからないかもしれません。

具体的な目標をもらえたほうが
人はその目標に向かって
動きやすくなります。

そこで、
「これこれこの数値が、XX以下になるように
数ヶ月、一緒に頑張ってみましょう」
といった目標を、
患者さんと医療機関の間で
設定することをお薦めします。

その上で、その目標達成のために
望ましいライフスタイル見直しの
プランをつくってあげると、
達成のチャンスは増すものと思われます。

まとめ:患者さんの立場になって生活習慣の改善法を検討しましょう

生活習慣の指導は時間を必要としますし、
挫折の危険と常に隣り合わせかと思います。

成功させるのは名医であっても
難易度が高いことかもしれません。

患者さんひとりひとりの状況を
焦らずに聞き取った上で、
慎重に戦略を立てていくことが大切です。

粘り強く取り組んで、
患者さんとの信頼関係を
築いていきたいですね。