高齢化社会が進むと
医療機関では、さまざまな問題が
起こると予測されています。

高齢者の医療費の増加にともない
保険財政はひっ迫することが予想されています。

そのため、2022年度から
75歳以上の後期高齢者における
保険診療の一部負担額は、
2割引き上げることが決定しました。

これからは、保険診療の対応では難しい治療や、
自由診療を受けてみたいなどといった方も
増えることが予測されます。

自由診療を行っている医療機関では
今後何が求められているかを
考えることが必要となっていくかもしれません。

そこで、今回は避けては通れない
「高齢化問題」
について取り上げていきたいと思います。

高齢者人口の推移

高齢者の世帯数は、年々増加の傾向がみられます。

2005年は約1,340万世帯程度でしたが、
2025年は約1,840万世帯になることが
見込まれています。

また、2025年には高齢者の世帯の約7割が
一人暮らし、もしくは高齢夫婦のみの世帯が
占めると見込まれています。

これを2025年問題といい、
医療や福祉などの分野では
大きな影響をおよぼすと考えられています。

また、高齢の方は
慢性的な病気を抱えている方が多いため、
「病気を治す」ことはもちろん
「病気とともに生活する」ことも
求められるかと思います。

そのため、医療機関としては
持続的な医療サービスを提供できるように
運営していく必要があるかもしれません。

高齢化社会で起きる問題

高齢化がすすむと、これまでよりもさらに
細かな医療サービスが
求められる可能性があります。

具体的にどのような問題が起こるかを
考えていきたいと思います。

医療と介護の連携がさらに必要となる

日本では65歳以上の人口が3,500万人ほどで、
総人口の3分の1は高齢者が占めていると
報告されています。

今後は高齢の方が、在宅でも快適な暮らしを
送ることができるように、
高齢者に多く見られる慢性期の医療や
介護といったニーズに合わせることも
必要になるかもしれません。

地域包括ケアシステムが必要になる

現在、国が積極的にすすめているのが
「地域包括ケアシステム」です。

「地域包括ケアシステム」とは
2025年(令和7年)を目途に、
高齢者の尊厳の保持と
自立生活の支援の目的のもとで、
可能な限り住み慣れた地域で、
自分らしい暮らしを
人生の最期まで続けることができるよう、
地域の包括的な支援・
サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の
構築を目指すものです。

これからは、医療機関として
地域包括ケアシステムへの取り組みが
重要になってくるかもしれません。

例えば、保険診療の対応では難しい、
自費によるリハビリなどの需要も
あるのではないでしょうか。

人材の確保が難しくなる

社会の高齢化により、働き手自体が少なくなり、
医療従事者が不足しているという
医療機関もあるようです。

特に、看護師の人材不足はコロナ禍もあり、
大きな問題となってきているようです。

看護師が不足すると、患者さんに対する
医療サービスが低下してしまうだけでなく、
看護師に大きな負担をかけてしまうため、
さらに人員不足が加速してしまうことも
予測されます。

高齢化の時代で求められていくもの

患者さんに気持ちよく医療サービスを
受けてもらうためには、さまざまな改革が
必要になってくるかもしれません。

業務の効率化

AI(人工知能)は現在、医療機関だけでなく
さまざまな分野で活用されています。

AIを業務の中で取り入れることによって、
さらに業務の効率化を
目指しやすくなるかと思います。

医療機関で利用されるAIには、
患者さんの治療のために利用される
画像診断・血液検査など
診断を補助することにより、
高度な診断や治療を提供しやすくなります。

また、医療機関でおこなう事務作業は
AIを利用することにより効率化できれば、
スタッフを削減することができるだけでなく、
レセプトの請求ミスなどを
さらに減らすことも可能になるかもしれません。

人材の確保

医療機関でスムーズな業務、
または細やかな医療サービスを提供するためには、
現在休職中の女性または高齢者の雇用も
考えてみてもいいかもしれません。

例えば、薬剤師・管理栄養士などは、
60代70代でも働いている方はいるようです。

これまで働いた経験があるため、
きめ細やかな対応、患者さんスタッフに
対する気配りにもたけている方が多いようです。

また、専門的な知識を持った有資格者も、
条件があえば働きたいと考える方は
いるかもしれません。

それぞれのニーズに合わせて、
働き手を選ぶことも大切かと思います。

在宅医療

これからの超高齢化社会では、
在宅医療など高齢者の方も快適に暮らせる社会が
求められてくるかもしれません。

在宅医療を専門にしている開業医が、
訪問診療を積極的におこなうことにより、
在宅で生活をしている方の生活の質を
上げることも可能になるのではないでしょうか。

また、慢性期治療だけでなく終末期治療などの
対応もさらに必要となっていくでしょう。

保険診療では難しい場合に
自費を選択することで、その方に合わせた治療を
提供しやすくなるかもしれません。

高齢化社会に合わせた医療サービスを提供することが必要

患者さんは、自分の状態や生活スタイルに
合った治療を受けたいと考える人が増えています。

患者さんの中には治療の選択を
病院任せにするのではなく、自分で
治療を選ぶ人もいるかと思います。

ていねいできめ細やかな医療サービスを
続けていくためには、何が求められているのかを
知ることが時には必要かもしれません。

高齢化社会でどういった問題が起こるのか、
何が求められているのかを考えてみるのは
いかがでしょうか。

【参考】
厚生労働省 今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0927-8e.pdf

・厚生労働省 地域包括ケアシステムの実現へ向けて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/