日本社会では以前から
企業にしても学校にしても4月が年度の開始、
という風習があります。

コロナウイルスの影響から昨年は
学校の開始が9月からになるなんて可能性が
浮上していましたが結果として
それは見送られましたね。

令和3年も社会全体で、
4月が年度の開始となる模様です。

さて、医療機関でも4月は新たに
入職するスタッフが増えますし人事面で見ても、
重要な時期にあたります。

このため、3月が終わるまでに
新しいスタッフを迎え入れる体制を
きちんと準備しておきたいものですね。

そこで今回は、新人スタッフが長期的に
働いてくれるようにするには
どうすればいいのか? 
この点を考察する回にしましょう。

入ってくるスタッフを分類すると? 

中途採用で、経験豊富で即戦力となるスタッフを
雇う場合は、あまり教育に手間暇を
かけなくてもよいかもしれませんが、
残念ながら、そうではないことのほうが
多いでしょう。

経験者ではあっても、ブランクがある場合

看護師や受付のような仕事は、
女性がされている施設が
ほとんどではないでしょうか。

さて、このような女性スタッフは
結婚・出産や夫の転勤といった事情から
離職者が発生しやすいかと思います。

現在は人手不足が続く以上、
そのようなブランクのあるスタッフも
積極的に再雇用することを
検討してみてはいかがでしょうか。

ブランクを持つスタッフの採用が
4月に多いとは言えませんが、
家族の都合に合わせて
3月までに辞めるスタッフはよくいますし、
穴埋めのため、4月前後に
再雇用するケースは少なくないでしょう。

中途採用で注意したほうが良い点は、
人によって経験値がバラバラなことです。

このため、ひとりひとりの実力や素質を
できる限り見極めながら、
教育していくことが求められます。

といっても残念ながら、医療機関は
どこも多忙ですし、

「そこまでのケアをする余裕がない」

というのが
実際のところではないでしょうか。

学校等を出て間もない、新人の場合

やはりこれが、春先の雇用の目玉といえますね。

新人の場合は、いくら学校で学んではいても
本格的な経験はない段階。

効率よく、多くのことを学んでもらい、
慣れてもらわないといけません。

ところで
現在の新人に関して、
医療機関を含む多くの現場では

「ゆとり世代だから…。」

と、言われることがある模様です。

言うまでもないことですが一方的な
先入観を持って、新しいスタッフに接することは
避けた方がいいでしょう。

新人に定着してもらうためにできることといえば? 

さて、経験ありの場合でも、未経験者の場合でも、
4月のような入職者が多い時期に大切なことは、
事前に受け入れ体制を作っておくことでしょう。

1.無駄のない教育をするために

アンチエイジング診療のジャンルも幅広く、
医療機関ごとに環境が少しずつ異なります。

すべてに共通する方法論を見つけることは
至難の業ですが、あえてご提案するなら、
マニュアルの準備でしょうか。

仕事の手順等をまとめたマニュアルを
読んでもらえるようにすれば、
それだけでも教える手間暇は
ある程度省略することができます。

もちろん、細かい部分は
手取り足取り教えないといけません。
しかし忙しい医療の現場においては、
ある程度の段取りをマニュアルでイメージして
もらってからのほうがうまくいくかと思います。

なお、

「見て覚えましょう」

「仕事は、指図されてから動くのではなく、
自分から見つけましょう」

といった言葉を押し付けることは
おそらく得策ではないでしょう。

大病院等ではマニュアルをすでに
作成しているところが多いようです。

2.個々のスタッフへのケアに関して

数ヶ月くらいで離職してしまう理由は、職場で
周囲と腹を割って話せていないといったような
人間関係が原因ということが多いようです。

逆に言えば、
同僚や上司の中に

「信頼できる人がいる」

と思ってもらえたら、
不満なことが多少あっても、
すぐに辞めようとは思わないと思いませんか?

では、経営者の立場からできることは
何でしょうか? 

それは、
コミュニケーション不足に
陥らないようにすることでしょう。

全体のミーティングを開いたときに
新人の様子を探ることも大切ですし、
個別のミーティングもなるべく実施して、
個々のスタッフに自身の状況を気兼ねなく
話をしてもらうことも大切です。

そして、わからないことや
不安に思っていることを聞き出して
解決を目指しましょう。

同じことを2回3回と繰り返し訊かれても
そこで嫌味を言うような真似はせず、
丁寧に答えることが大切です。

院長の前に出ると緊張してしまう
スタッフに対しては、他のスタッフに代わりに
話を聞いてもらいたいところですね。

また、面と向かっての
ミーティングが難しいときは
「メール」または「LINE」のような
SNSを使った
コミュニケーションでもかまいません。

とにかく、新人スタッフが
孤立してしまうことがないように
配慮したほうがいいでしょう。

離職者を出すことは大きな損失です

日本は若い労働力が
どんどん減りつつある傾向にあるようです。

残念ながら医療業界もその傾向から
免れることはできません。

春に入ってきたスタッフには、できるだけ長く
働いてもらうのがいちばんです。

離職者が1名出るだけでも、
求人を出したり次の入職者の教育をしたりと
新たなコストとなってしまいます。

入ってきたスタッフを大切な人財ととらえて、
愛着を持って働きつづけてくれるように
こちらからも働きかけたほうがいいでしょう。