アンチエイジング診療で上手に
収益を上げることに成功すれば
経費や税金を差し引いても、
手元に残る金額は
かなりのものになるでしょう。
これは自由診療を追求する
医療機関にとって、
最大の醍醐味といえます。
ところが、
医療機関の経営がうまくいっていると、
いずれ税務調査を受ける可能性が高まります。
これは、きちんと税金を収めているつもりでも
避けがたい出来事なのです。
税務署から調査の連絡を受けたときは
もちろん拒否すべきではありませんし、
そつのない対応をすることが求められます。
なぜ税務調査が実施されるのか
税務調査は、医療機関に限らず
ありとあらゆる事業者に対して
実施されます。
大規模な相続が行われた場合も
調査の対象となります。
早い話、高額の収入を得た個人・団体であれば
税務署の関心を自然と集めてしまうのです。
税金の計算は簡単ではありませんし、
悪気がなくても納税額を間違える
ケースも多いものです。
高額の所得に恵まれている医療機関や
節税がうまくいっている医療機関は、
特に狙われる傾向があります。
また、過去数年に売上幅が激しく上下したり、
経費の割合が高い医療機関も
狙われやすくなります。
逆に言えば長い間、
全然調査を受けない医療機関は
経営方針や節税方針に
何か問題を抱えている
可能性があるといえます。
アンチエイジング診療を展開している場合は
調査を受けやすい
さて、医療機関は世間では
「儲かる」というイメージがあります。
実際には、公立の病院を中心に
赤字に陥っている例も多いのですが、
開業医の場合は、
やはり利益を多く出しているところが
少なくありません。
それでも、
保険診療ばかりをやっている場合なら
あまり調査を受けません。
社会保険診療支払基金の情報を
チェックするだけで、
詳細をすぐに把握できるからです。
しかし自由診療となると、
売上を隠匿するチャンスが確実に増えます。
税務署はそこに疑いの目を向けるのです。
とりわけ、医療費控除の対象に含まれない
医療サービスをやっているなら、
疑われやすくなります。
税務調査ではどんなことを調べるのか
税務署員が来た日に、
しばしばチェックを受けるものを
並べてみましょう。
- 決算申告書や総勘定元帳ほか
- 売上の管理にかかわる書類全般
- レセプト関係の書類全般
- 各種請求書・納品書・領収書
- 通帳の類
これらは、
税務署に提出された書類と照合されます。
売上や支出の実情を正確に確認するためです。
- 給与台帳ほか
人件費の管理にかかわる書類全般
これらも、納税額と大きな関係があるものと
みなされます。
人件費は実は、
売上のごまかしが発生しやすいものです。
架空の人件費が
計上されていないか?
または家族等に高すぎる賃金が
渡されていないか?
そのあたりを税務署員は
念入りに調べようとします。
家族を役員に配置すれば、
給料を損金として扱うことが可能となります。
これはよく使われている節税対策ですが、
ほとんど働いていない家族に
高額の給料を渡していると
税務署の疑惑を招いてしまいます。
調査されるのは医療機関内のデータだけではありません
医療機関の税務調査では、
しばしば経営者の個人的な書類等も
調査を受けます。
これは、医療機関としての支出と
院長のプライベートな支出が
きちんと区別されていないケースが
相次いでいるためです。
光熱費や通信費のようなコストが
区別されていないと問題視されますし、
交際費についても同様です。
経営者の私生活も税務調査の主要なチェック対象です
医療機関の経営者は、
収益がうまく上がっているほど
生活が派手になる傾向があるでしょう。
しかし申告内容と釣り合わないほど
生活が豪奢だと判断されると、
税務署の調査は執拗になる
可能性があります。
飲食費や交際費については、
普段から領収書等を正確に管理しておくに
越したことはありません。
金額も相手の名前も
漏れなく残しておくべきです。
これらの費用は損金計上できますが、
不透明な部分があると
調査に来た税務署員から、
個人的な遊興費なのではないかと
疑われてしまうでしょう。
また医師の場合、年に何回か
学会へ参加することはよくある話です。
これは医師にとって必要不可欠な行為でしょう。
そのため発生した費用を
経費として計上することが認められています。
しかしあくまでも、必要な範囲だけです。
学会に出かけた際に、
ついでに観光を楽しんだ場合は
そのコストは経費になりません。
この場合も、領収書の管理にすきがあると
税務署員に指摘を受けてしまうでしょう。
まとめ:税務調査は顧問税理士とよく相談して受け入れを目指しましょう
アンチエイジング診療で成功したら、
数年に1回くらいのペースで
税務調査を受けても不思議ではありません。
普段から、書類等の管理を
きちんと進めておくことが大切です。
そして顧問税理士との連携も重要です。
常日頃から、税の申告や節税について
アドバイスを受けておくことが必要でしょう。
税務調査が決まったら事前にたっぷりと
コミュニケーションをとって
すきのない準備を進めるべきでしょう。