社会人として働くことになったスタッフは、
技術的なことを知っていても
クリニックで必要なホスピタリティについて
知らない場合がほとんど
です。

もちろん最初は見習いとして働くことになるため、
立ち居振る舞いや礼儀については
見逃さなければならない部分も出てくるでしょう。

しかし、できるだけ早く患者さんに
居心地のよい空間を提供するためには、
ホスピタリティの重要性を
知ってもらうことが必要
です。

特に、自由診療のクリニックでは、
ホテル並みのサービスを求められます。

この記事では、
ホスピタリティの重要性についてご紹介します。

ホスピタリティはなぜ重要なのか

患者さんは、クリニックを決める際に、
医師の技術や治療内容はもちろんですが、
親身になって対応してくれるかどうか
選ぶ場合があります。

厚生労働省の行なった調査で、
病院を選んだ理由として次のような項目が
挙げられていました。
「医師による紹介」
「交通の便がよい」
「専門性が高い」
「家族・友人・知人からの勧め」
「医師や看護師が親切」
「建物がきれい・設備が整っている」
※参考リンク

この結果から考えると、
「家族・友人・知人からの勧め」
「医師や看護師が親切」
「建物がきれい・設備が整っている」

といった、ホスピタリティの必要性
よくわかります。

自由診療のクリニックでは、保険診療に比べ、
高い診察代金を支払っているため、
患者さんはそれ以上の技術やサービスを
求めています。

そのため、専門的な技術だけでなく
患者さんが何を求めているか
知ることが大切なのです。
病院に来る患者さんは、
病気など悩みがあるから来院される方が
ほとんどです。

そのため、患者さんにとっては、
ホスピタリティがもっとも重要
なってくるのです。

ホスピタリティを実現するには
何が必要なのか

ホスピタリティは、
「心のこもったおもてなし」
「手厚いおもてなし」

というように辞書に書かれています。
これらを実現するためには、
次の3つのものが必要ではないでしょうか。

1.身だしなみ

白衣は常にきれいに洗濯されているものを
着ているでしょうか?
ボールペンで胸元のポケットが汚れていたり、
シワがついた白衣をそのまま着ている人を
見かけたりすることがあります。
そのまま汚れた白衣を着ていると、
患者さんの与える印象も違ってきます。
例えば、看護師が患者さんのために
処置をしているとき、白衣が汚れていたら
どう感じるでしょうか?
クリニックといった場所で不潔な印象を与えるのは
とても危険なこと
だと考えられるでしょう。
スタッフひとりだけの問題ではなく、
クリニック自体の不信感につながるかも
しれません。

2.目配り

クリニックには、
いろいろな患者さんが来られます。
例えば、
「体調が悪いので早く見てもらいたい」
「仕事中に来ているので早く会社に帰りたい」
といった方が待合室で待っています。
例えば、そわそわしている人がいれば、
ひとこと声をかけてみるというのも
ひとつの方法です。
「少しお待ちいただきますが、
お時間は大丈夫ですか?」

などと声をかけてもらうだけでも、
患者さんは
「自分のことを気にかけてくれているんだ」
と安心します。

3.心配り

目配りの次に大切なのは心配りです。
心配りとは、患者さんが何を求めているか考え、
先回りして行動することです。
例えば、患者さんが咳やくしゃみをしているのは、
風邪もしくはアレルギー性鼻炎なのかも
しれません。
そんなときは、
「温かいお飲み物はいかがですか?」
など、声をかけると患者さんは喜んでくれる
でしょう。
待合室で席を立ってうろうろしている場合も、
何か困ったことがあるのかもしれません。
そういったときも先回りして
声がけをしてみてもいいでしょう。

ホスピタリティに必要な
患者さんにたいしての言葉づかい

クリニックで働くスタッフに
知ってほしい言葉づかい
についてご紹介します。
受付でちょっとしたひとことが
患者さんの心をなごませてくれることがあります。
次に、いくつか例を紹介します。

・「おはようございます。
  今日は暖かくてよかったですね。」

患者さんの出入りが激しくなると、
機械的な対応になってしまいがちです。
こんなときは、このような言葉を
かけてみてはいかがでしょうか?
このような応対がスタッフと患者さんの関係を
一歩近づけます。

・「お時間は大丈夫でしょうか?」

これは、急いでいる患者さんだけでなく、
無駄な時間を過ごしたくないと
思っている患者さんにむけた言葉です。
相手の時間を確認することで、
患者さんは私のことを一番に
考えていてくれるんだという思いを
感じることができます。
もし、急いでいた場合だったとしても、
この一言で話を聞いてくれるかもしれません。

・「よろしければ、
  お手伝いしましょうか?」

クリニックには、体の不自由な方や、
体調の悪い方などがいらっしゃいます。
このような方に、新しいスタッフは
手を差し伸べていいかどうか
迷うこともあるでしょう。
こんなときは、ひとこと声をかけてみては
いかがでしょうか?
迷ったときは、
このように声をかけることが大切です。

・「貴重なご意見をいただき
  ありがとうございます。」

患者さんに、
「待ち時間が長い。なぜ予約しているのに
こんなに待たなければいけないんだ?」
とお怒りの患者さんがいらっしゃったとします。
こんなときもスタッフは冷静な対応が必要です。
「申し訳ありません」
という言葉も大切ですが、
お礼を先に述べてみてはいかがでしょうか?
「貴重なご意見をいただきありがとうございます。
このたびは申し訳ありませんでした。
すぐに対応いたします。」

というように
相手に感謝の気持ちを伝えながら謝罪すると、
患者さんも気まずい気持ちにならなくてすみます。

スタッフは常にホスピタリティの
気持ちを持つことが大切

ひとことでホスピタリティと聞いても
ピンとこない方もいるでしょう。
これからクリニックで働くスタッフには、
技術的なことはもちろん、
患者さんがどのような思いでクリニックに
通っているか考えてみてはいかがでしょうか?

もし、
「自分が患者さんの立場なら
何をしてほしいのか?」
と考えるだけで、解決できる
問題もあります。

クリニックは、他の職場に比べて
言葉や行動に注意が必要です。
まずは、立ち居振る舞いや礼儀などから
学んでいきましょう。