医療の世界でも4月は、
他の業界と同じく
年度の初めになることが多いでしょう。

人事面でも4月は、
スタッフの異動が頻繁に行われる
重要な時期です。

さて4月は歓迎イベントが行われたり、
研修が実施されたりと
あっという間に過ぎていきます。

4月末から5月上旬の
ゴールデンウィークが終わると、
入ってきたスタッフには
いよいよ本格的に
働いてもらうことになりますが……

ところがこの頃、
スタッフが職場にうまくなじめずに
行き詰まってしまうことがあります。
深刻になると、はっきりとした
適応障害やうつ症状を
見せてしまうこともあるのです。

看護師やクラークのような
医療機関で活躍する職種においても、
これらの症状は決して他人事ではありません。

ゴールデンウィークが終わった直後にみられる「5月病」

4月の間のスタッフは、
採用された場合も
他の部署から配属された場合も、
新鮮な驚きでいっぱいでしょう。

その職場で初めて目にするものが
たくさんあるでしょうし、
新たな環境に対する期待も
大きいと思われます。

しかし5月の大型連休が終了すると? 
それからはどの職場でも
似通った日常の繰り返しになるでしょう。

たいていのスタッフは、
だんだんと新たな職場に
慣れていくものですが……、
全員が適応できるわけではないのです。

しかしそこで無理をしていると、
心身ともに耐えられなくなってしまいます。

これがいわゆる「5月病」のパターンです。


5月病の次にクローズアップされている「6月病」

5月病はかなり前から
報告されている症状で、
世間に広く知られているでしょう。

ところが近年、5月ではなく
6月に入ってから
症状が現れるケースが
報告されるようになっています。

この「6月病」、症状は
5月病と大きな違いはありません。

症状がひと月遅れて
出てくる理由として、
識者の間では
以下のポイントが指摘されています。

1.研修等が長期化しているため

一般企業でも医療の世界でも、
近年は新人研修のカリキュラムに
増回傾向がみられます。

4月から5月にかけて
研修が続いていくうちに、
求められる業務等の多さに
重圧を感じてしまう
スタッフがいることは
否定できない事実です。

2.5月の間は、いちおう我慢してしまう
 スタッフも出てくるため

これはかなり単純な答えと
呼べるかもしれませんが、
5月に入って
いきなり音を上げるとは限りません、
我慢できなくなる時期は
あくまでも人それぞれです。

責任感の強いスタッフや、
新人ではなくて重大なポストを
任されているスタッフであれば、
6月に入るまで、自分の気持ちを
押し殺して頑張ってしまっても
不思議ではないでしょう。

したがって、とても我慢強いタイプであれば、
症状が出る時期が7月や8月になる、
という可能性もあるわけです。

3.梅雨時の、ゆううつな気候が影響するため

6月の後半は雨が多く、じめじめとします。
これが、スタッフのコンディションに
悪影響を及ぼすという見方もある模様です。


貴重な人材の流出を防ぐには? 院長側にできる対応とは

数年前から、人手不足が
どの業界でも深刻化しています。
医療の世界でも、
スタッフがいきなり欠けてしまうことは
できる限り避けたいところですね。

1.研修制度等の見直しを常に怠らない

研修が長かったり、
教えることが多かったりすると
スタッフの消耗は自然と激しくなります。

チャンスがあるなら、
スタッフにアンケートを取ってみましょう。
研修の内容がしんどいという意見が多いなら、
どこかに余裕を持たせたほうが安全でしょう。

2.スタッフの勤怠管理について、用心を怠らない

これは簡単にできることではありませんが、
できる範囲で少しずつ
取り組んでいく必要があるでしょう。

5月病や6月病を防止する上で大切なことは、
スタッフがなるべく規則正しい
ライフスタイルを持てるようにすることです。

  • 毎日がリズミカルに過ぎていくこと
  • 心身を毎日、ほどよく動かすこと
  • 心身を毎日、程よく休ませること

これらが維持されているなら、
スタッフは自然と
ストレスやプレッシャーを
感じにくくなるものです。

アンチエイジング診療においても、
スタッフについ大量の仕事を
任せてしまう場面は多いでしょう。

それでもなるべく、スタッフの仕事量を
一定にコントロールしていくように
考えていきたいものです。

なお、スタッフにきちんと
休暇を取らせることは非常に大事なことです。

ただし、普段残業を大量に抱えているような場合、
いきなりまとまった休みを取ってもらっても、
スタッフの心身がじゅうぶんに
癒されるとは限りません。

いきなり休みに入っても、
規則正しい生活を送れるわけではないからです。

3.メンター制度を活用する

5月病や6月病になってしまうスタッフは、
悩みや重圧をだれにも
打ち明けていないことが多いです。

したがって、相談場所を
用意しておくに越したことはありません。

院内に、この手の相談役を
任せられる人材がいるなら
頼んでもよいでしょう。

ただ、できれば院外にも
相談相手がいたほうが望ましいです。
この手の問題に精通した社会保険労務士を雇う、
といった方法で
外部の相談役を確保することが可能です。

5月から6月にかけて、メンタルを病むスタッフの登場を防ぐために

人事異動の季節は、どうしても
数多くのことを一度に
覚えてもらう必要がありますし
やってほしい仕事も
自然と増えていくものです。

ただ、スタッフによって
適性・耐性に差があります。
スタッフの様子には
できるだけ注意しましょう。

仕事の割り振りに気を使ったり、
メンター制度を充実させたりと、
できる対策はいろいろとあるはずです。