開業医にとって、
自院をオープンさせる場所のチョイスは大問題

ですね。  
  
開業場所の選択を間違えると、
取り返しのつかない失敗につながりかねません。

ところで最近
「医療モール」という言葉が医療従事者の間でも
一般の患者の間でもおなじみになりつつあります。

たくさんの医療機関が
まとめて入居している施設が
身近な存在に
なっているわけです。

そこで今回は、
この医療モールで開業するとどんな結果が
待っているでしょうか? 

詳しく整理してみました。

医療モールは現在、3種類に分類できます

現在の医療モールには、
以下のような種類があります。

ビル型

ひとつのビルのテナントが、
医療機関や薬局で占められているケースです。

ビル全体が、
医療機関の入居に適した構造を
持っている点がメリットです。

商業モール型

ショッピングモール等の一部のエリアを、
医療機関で占めているケースです。

土日祝日といった買い物客がよく集まる
日時に診療するとかなりの増患を期待できます。

戸建て型

外から見ると、
戸建て住宅が立ち並ぶエリアの
一角に見えるケースです。

一般住宅の代わりに
医療機関が立ち並んでおり、
「クリニックビレッジ」
呼ばれることがあります。

また、
幹線道路等の近くに
つくられることが多い、
という特徴がありますね。

医療モールへの入居を検討するときは、
これら3タイプの中からどれが最適なのか、
熟慮する必要があるでしょう。

医療モールに入居したときに、見込めるメリットとは

主なメリットをまとめてみました。

集患・売上アップを目指す際に何かと有利になる

医療モールの存在は、
地域の住民に認知されやすいもの。
したがって、個別に開業する場合と
比べて有利に出発できます。

それから、
近隣に住む
患者にとっては「医療モールに来ると、
まとめて複数の診察を受けられる」

というメリットがあります。

この点も自院のPRという意味で
プラスの材料となります。

開業費用が安くなるチャンスがある

これはビル型の医療モールに特に目立つ長所です。

最初から医療施設の入居を
意識して建設されるため
「内装等の費用があまりかからずに済んだ」
といった体験談はかなり多いですね。

共有できる設備がある

洗面所・駐車場といった設備を
共同で使えるチャンス
があります。

中には、受付や待合室が
共同となるケースまであります。

医院の敷地面積の確保や固定費の節約、
といった意味ではプラスでしょう。

コンサルタント等がついてくれる可能性がある

医療モールの開発・管理にかかわった企業が、
コンサルティングサービスも
提供してくれることがあります。

または経験豊富な税理士事務所や
コンサルタントを
紹介してくれる可能性もありますね。

うまくいけば、
資金面・集患面・労務面……ほか
さまざまな話題にて、
専門的な助言を好条件で受けられるでしょう。

モール内の他の開業医と仲良くできるチャンスがある

医療モールには、
さまざまな科目を標榜する開業医が入居します。

また、
調剤薬局のような医療と縁が深い施設も
合わせて入居することがほとんどです。

これらの仲間とは、
できるだけ円滑なコミュニケーションを
とりたいところです。

たとえば、
お互いに患者を紹介し合うこともできる
でしょう。

協力を続けることで、
近隣の患者からモール全体に対する
深い信頼を集めることが可能です。

医療モールに入居したときに、気をつけたいデメリット

メリットばかりに目を向けるのはよくありません。
そこで、
この場では主なデメリットを
並べることにしました。

モール内の人間関係に煩わされることがある

どれだけコミュニケーション能力が
優れていても相性が合わない相手は、
世の中にいるものですね。

もし、相性が合わない相手が
同じ医療モール内にいた場合、
その相手とうまくいかずに
苦しむ羽目になる可能性があります。

モールの規約が自院に合わない可能性もある

それぞれのモールには
独特のルールがあるもの。

診療日・診療時間に
制限がかかることもあれば、
内装・物販等の業者を
選んだり仕事を頼んだりする際に
制限がかかることもあります。

この点は正式な契約の前に
確認しておくしかありません。

モール内で不祥事が起こった場合やネガティブな噂が流れた場合のリスク

自院に関係がないトラブルであっても、
モール内のどこかで何か発生しただけで、
モール全体の評判にダメージを及ぼしてしまう
ことがあります。

集患という意味で、
これは大きなハードルとなるでしょう。

万一、モールの設立場所が間違っていたら? 

医療モールは通常、集患のチャンスを
見込める場所を選んで建てられるものです。

とはいえ、
そのあてが外れてしまう
リスクはゼロではありません。

人間のすることですから、
経験を積んだマーケッターが
計画を立てる場合でも「ふたを開けたら、
思ったほど患者が来なかった」
何て結末を迎えることはあるのです。

各地で増えていく医療モールをどう捉えるべきか

医療モールは各地に登場しています。

入居できるチャンスがいつ発生しても
不思議ではないでしょう。

すでに理想的な場所で
開業できていて、
アンチエイジング診療・自由診療で
安定した成功を収めている場合でも、
いつまでもその場所で続けられるとは限りません。

また、医院の移転や分院といった理由から
場所選びに直面するケースだってあるでしょう。

いずれにしても医療モールへの入居は、
チャンスや必要性に応じてじっくりと利用価値を
検討して判断するのがベスト
でしょう。