自由診療は医療機関側に
価格を決める権限があります。

提供する診療サービスに
自信がある場合なら、
自信を持って
価格を高めに設定できるでしょう。

さて、価格を高めにするのなら
患者にその価格を
受け入れていただく
必要があります。

患者から同意を取り付けるため、
自由診療を標榜する医療機関では、
患者へのプレゼンテーションに
力を入れる傾向があります。

診療のメリットや素晴らしさを
丁寧に伝えようとすると、
さまざまな専門用語が
つい口から出てくる
もの。

ところがこの専門用語、
患者からの契約を増やす上で
必ずしも有利に働くとは
限らない
のです。

専門用語を使いすぎると、出てくるデメリットとは

医療の世界に身を置いているなら、
日頃の研究において
専門用語を目にすることは
日常茶飯事です。

学生のころから専門用語を
見慣れていると、それが
特殊な業界でしか用いられない
言葉であることを
なんとなく忘れてしまう
でしょう。

しかしその感覚のまま、
患者に対峙してしまうと
どうでしょうか? 

自由診療の成約率に
悪影響を及ぼしてしまうことがあります。

1.じゅうぶんなインフォームドコンセントに
つながらない

「インフォームドコンセント」
という言葉が広まって
すでにかなりの歳月が
経過していますね。

現代の医者は、患者に常に
じゅうぶんな説明を
提供することが要求されます。

ところがせっかく
説明を欠かさず行っても、
その際に専門用語が
増えれば増えるほど
患者が理解できなくなります。

患者の理解力や予備知識には、
かなりの格差がありますね。

中には、来院する前に
ネット検索等で下調べを
念入りにやってくる患者も
いるのですが……、その反対で、
ほとんど何も知らない患者が
訪れる可能性のほうが高い
模様です。

2.患者に対して不親切な医院・医者だと
早合点されてしまうことがある

専門用語を連発する
医師を前にしたとき、
患者の受け取り方は人それぞれですが
あまりいい気分にならない患者は
少なくないのです。

よくわからない言葉を
何度も耳にしているうちに、
だんだんと不満を覚えたら?
患者はどうするでしょうか。

その不満をはっきりと表明する患者も、
ときには出てくるでしょう……
意思表示してくれるなら、
医師の側も対応できるでしょうが、
何も言わずに立ち去っていく患者は、
決して少なくありません。

ようするに患者を
逃してしまうことになります。
そして、「あそこの先生は、
わかりやすい説明をしてくれないらしい」
なんて噂が広まってしまう可能性が
出てしまうでしょう。

3.患者に理解されなかった結果、
診療終了後にトラブルになる
危険性が発生する

説明の際に専門用語を使いすぎたために
患者にじゅうぶんに理解されなくても、
それでも患者が契約してくれることは
あり得ます。

しかしこの場合は、
患者側の理解が浅いままです。

診療後に患者が
「思ってたのと違う」
「こんなはずじゃなかった」
~といった反応をする可能性が高くなります。

アンチエイジング診療では
美容関連を中心に、
患者とのトラブルが絶えません。

いさかいを避けたいなら、患者側に
あらかじめじゅうぶんに
理解していただくのがいちばんです。

専門用語を用いた説明にも、メリットはゼロではありません

専門用語にも、好ましい効果を
もたらすことは
じゅうぶんにあり得ます。

これは医療の世界に
限ったことではないのですが……
専門用語を聞いているとなんとなく
心酔してしまう
タイプ」
の患者も、少しは存在するのです。

人は誰しも、自分自身が
疎い業界の話をされると、
どう判断していいかわかりません。
話し手が難解な用語を使って話すと、
ますますついていけなくなるでしょう。

ところがそのときに、
話し手が自信に満ちた態度で、
説得力あふれる口調
だったら? 

「この人は相当、
そっちの世界ではすごい人なのかな?」と
なんとなく思ってしまうという
パターンがあります。

したがって小難しい専門用語も
多少であれば、患者に敬遠されない
可能性はあるの
です。

とはいえ、
総合的に判断するなら、
専門用語をなるべく使わないように
意識したほうが無難でしょう。

専門用語を使いすぎずに説明する方法を検討しましょう

患者に提供する
アンチエイジング診療の
内容を振り返って、
説明する際に使ってしまいそうな
専門用語を一度
洗い出してみましょう。

その上で、以下の作業を
実践してみてはいかがでしょうか。

  1. 難解な用語それぞれについて、
    一般人でもわかる説明方法を
    探り出す
  2. それを書き出してみて、
    少しでも簡潔になるように
    修正を試みる
  3. 口頭ではうまく
    説明し切れない場合は、
    資料を用意して対応する

資料については、
患者に誤解を与えるような内容は
くれぐれも避けましょう。

患者への説明は常に、わかりやすさを忘れないことが大切です

自由診療は、保険診療の範疇では
処置し切れない患者の悩みを
解決できます。

そのため専門性が
自然と高くなります。
その結果専門的になればなるほど、
患者が楽に理解できなくなる
ケースがあるわけですね。

しかし現代の医者は
患者に適切な医療情報を
提供する義務を課されています。

患者の目線に立った説明を
絶えず心がける必要があるでしょう。