突然スタッフに「退職したい」と相談されたとき、
どのような対応をしていますか?
「とにかく辞められると困る!」
「全力で引き止めたい」
と思うのではないでしょうか。
しかし、どれだけ説得しても結局は辞めてしまう…
という場合も多いでしょう。
そこで今回は、スタッフが退職したいと思う理由や
効果的な引き止め方法についてご紹介します。
スタッフが退職したいと思う理由
クリニックには、看護師をはじめ医療事務など
さまざまな職種のスタッフが働いています。
その中でも大半を占めるのが看護師です。
厚生労働省の「看護職員就業状況等実態調査」では
看護師の退職理由は次の通りでした。
看護師が退職する理由
- 出産・育児のため
- 結婚のため
- 他施設への興味
- 人間関係がよくないから
- 超過勤務が多いため
出典:看護職員就業状況等実態調査 平成22年度
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000072895.pdf
この結果から考えると、結婚・出産・育児が理由で
辞める場合が多いことがわかります。
しかし、3、4、5の理由はどうでしょうか。
特に看護師の場合、
どの医療機関でも人手不足が深刻な問題と
なっているため、具体的な対策が必要となります。
では具体的に、
スタッフがクリニックを退職したいと思う理由には
どんなものが考えられるのか見ていきましょう。
・他施設への興味
看護師は人手不足が深刻な問題となっているため、
どの医療機関でもさまざまな方法で
人材を確保しようとしています。
今の職場に不満がなければ、
このような理由も少なくなるでしょう。
・人間関係
クリニックの場合、人数が少ないことから
人間関係が濃厚になりがちです。
また、狭い場所で行動するため、
苦手な人がいても逃げ場がないので
ストレスがたまりやすくなります。
・勤務時間
クリニックは、朝と夕方というように
不規則な時間で働きます。
特に夜は、患者が多ければその分、
帰るのが遅くなります。
残業が多いというのも退職したくなる
理由のひとつです。
スタッフが退職したいといったときの対処方法
それでは、スタッフが退職したいといったとき、
どのような対応をすればよいのでしょうか。
退職したい理由を聞く
スタッフから「退職したい」といわれたら、
まず時間をつくりましょう。
できれば他のスタッフが帰ったあとに、
だれも来ない部屋でじっくり話し合うと
いいでしょう。
なぜかというと、退職したいという気持ちとは別に
自分の悩みを聞いて欲しい場合もあるからです。
ただし、話を進めていくうちに
「これ以上話をしたくない」
という雰囲気を感じたら臨機応変に
対応していきましょう。
まず、最初に聞いておきたいのは
退職したい理由です。
スタッフは穏便に済ませるために
本当の理由をいわない可能性があります。
スタッフの本音を聞きだすために、
このように聞いてみてはいかがでしょうか。
「おつかれさまでした。
これからのために教えて欲しいのですが、
クリニックにはどのような改善が必要でしょう?」
このように聞くと、スタッフはとりあえず
退職を認めてくれたと安心するでしょう。
そこでスタッフの本音を聞いてみます。
あくまでも、落ち着いた口調で
話すようにしましょう。
改善できることを提案する
スタッフの本音が聞けたら、
改善案を提案しましょう。
・人間関係の場合
例えば、
「仕事を教えてもらっている先輩が厳しい」
「〇〇さんが仕事をしてくれない」
などといった理由を相談してきたとします。
まずは、このような問題に気が付かなかったことを
素直にあやまりましょう。
これに対して、返事は
「これからはもっとスタッフの様子を
チェックしていきます。」
「〇〇さんと、一度話し合ってみますね。」
など具体的な提案をします。
次に、改善するための時間が欲しいと提案します。
そして、1ヶ月後に話をするために
具体的な日付を決めておくといいでしょう。
スタッフは具体的な提案をすると、
退職をもう一度考え直してくれる
可能性が高くなります。
また、待遇面に不満がある場合は
給与についても考えてみましょう。
例えば、
「長い間働いているのにあまり給料が上がらない」
といわれた場合は、他のスタッフを含めて
改善が必要になってくるでしょう。
この場合は、毎月の給料の改善をするだけでなく、
資格手当を取り入れてみるのもいいでしょう。
例えば、がんの看護に詳しい専門看護師の資格や、
日本抗加齢医学会の認定資格などです。
クリニックで必要と思われる資格を
すすめてみるのもひとつの方法です。
また、クリニックの自由診療メニューや
サプリメントを積極的に患者に紹介して
売上を上げたスタッフには、
特別手当を支給するのも一つの方法です。
提案を頑張ったスタッフの給与アップになり、
クリニックの収益アップにも繋がります。
もちろん、提案がしつこくならないよう、
スタッフへの教育は別途必要です。
・勤務時間の場合
「定時で帰れると聞いていたのに残業が多い」
というような場合が多いでしょう。
このような場合は、スタッフが不足している
場合がほとんどです。
募集をしてもなかなかいい人が入ってこない
ということもありますが、
「積極的に人員を募集している」など
人を増やすことを考えているという点を
スタッフに説明しておきましょう。
また、残業が多くなる理由を
スタッフ全員に聞いてみましょう。
例えば、
診察後の掃除や片づけに時間がかかっている場合は
掃除を外部に委託するという方法もあります。
さらに、
「ひとりでも仕事をしている人がいると
帰りづらい」
という場合は、終わった人から帰るといったことを
全員で話し合うというのもいいでしょう。
・仕事内容の場合
こちらも人員不足が原因による場合が多いです。
人手が足りなくなると看護師などの医療専門職が
他の仕事を掛け持ちするということが起こります。
特に、医療事務がおこなう受付や事務処理などは、
人手が足りなくなると看護師がおこなう場合が
ほとんどです。
この問題もスタッフを増やせば改善できます。
ただし、人件費がかかるのでできるだけ抑えたい
というクリニックも多いでしょう。
しかし、優秀なスタッフを手放さないためには、
将来を見据えてお金をかけておくことも必要です。
「こんな仕事がしたい」といってくる
場合もあります。
例えば、院内で行われている特定の施術は
決められた看護師のみが担当している
場合があります。
このような場合は、希望している看護師がいれば、
難しい仕事に挑戦できる環境を作りましょう。
このように、退職したい理由が前向きな場合もある
ということを頭に入れておきましょう。
さらに、「先輩が難しい仕事を任せてくれない」
という場合もあります。
このような場合は色々なケースが考えられます。
もしかしたら、先輩が仕事を独占している
かもしれません。
また、そのスタッフがその仕事の能力に
見合っていないケースも考えられるでしょう。
これは、その場で簡単に決められないので、
他のスタッフとも個々に話し合い、
仕事の分担について具体的に考えていきましょう。
まとめ
有能なスタッフが退職してしまうと、
クリニックはかなり大きな痛手となります。
そうならないためにも、患者のためだけでなく、
スタッフに気持ちよく働いてもらうことも
普段から考えておかなくてはいけません。
スタッフは単に、今の職場が嫌だから辞める
という人ばかりではありません。
とくに向上心のある看護師は、
スキルアップのために転職をしたい
場合もあります。
今の職場でもスキルアップができるように
外部から専門家を呼んでスタッフの教育をする
というのもひとつの方法になるでしょう。