消費税がアップすることが
ほぼ確定している今、
アンチエイジング診療を
行なっている医院でも
気を付けたほうがいい点は
いろいろと見つかります。

さて前回は、増税の対象となる
高額な品物の購入時のポイントを
ご紹介しました。

今回は引き続き、もう1点。
増税後に損をしないためのポイント
ご紹介しましょう。

前回は「買い物」の話題でした。
今回は物品購入とは異なりますが
医院のための支払いという点では
共通しています。

人件費の一部が、消費税の対象になる可能性があります

アンチエイジング診療を続けて
収益を末永く出していくにあたって、
なくてはならないものは
何でしょうか? 

  • 確かな医療技術
  • 医療機器
  • 集患・プロモーション

……etc.
答えはさまざまでしょう。

まあいろいろと
答えはあるでしょうが、
スタッフ」も
必要不可欠ではないでしょうか。

やはり人材が揃わないことには、
申し分のない医療サービスは
実現できません。

さて、優秀な人材を
つなぎとめるには、
それなりの待遇を
約束しないといけません。

したがって人件費は、
アンチエイジング診療の経営において
きわめて重要な出費となります。

もっとも人件費は、
消費税の対象にならないことが
ほとんどです。

  • 正社員
  • 契約社員
  • パート・アルバイト

これらのスタッフを雇う場合、
給与や諸手当に消費税を
上乗せする必要はありません。
これらのスタッフとは、
直接的な雇用契約を結べるからです。

では、間接的な雇用契約といえば? 
派遣社員が該当します。

派遣料金はさまざまな費用が含まれる上に、課税対象です

医療機関でも、
一般の企業ほどの比率ではないものの
派遣社員が活躍しています。

世の中には医療事務のスタッフや看護師を
専門に派遣する会社も存在します。

派遣社員への給与を支払うのは、
あくまでも派遣会社です。
しかしその給与は、
派遣先から派遣会社に払われる
派遣料金から賄われます。

「派遣料金」の中には
派遣会社への賃金のほかに
以下のような費用が含まれます。

  • 派遣会社の諸経費
  • 派遣会社の取り分
  • 社会保険料

また、派遣社員が
有給休暇の対象となる場合は、
その費用も含まれます。

この結果、
派遣社員の賃金の数割くらいの費用を
余分に払わないといけない
のですが、
それだけではありません。
派遣料金には基本的に消費税が課税されます。

派遣会社は消費税を
税務署に納める義務があります。

そのため、消費税をかけないでほしいと
派遣会社に頼むわけにもいきません。

したがって、消費税が10%に上がったら
派遣料金の2%分を損することになります。

消費税が10%になって以後、どれくらい派遣料金が増えるのか

派遣社員を雇っている場合は、
増税後にどれくらい損をするのか
シミュレーションしてみるに
越したことはありません。

派遣会社に払う金額が
どれくらい上がるのか計算することは、
難しいことではない
でしょう。

時間がない場合は、顧問税理士に
代わりに計算してもらう
という手があります。

計算ができたら、その額を
穴埋めする方法を検討するとよいでしょう。

たとえば1日8時間、
月に平均で22日働いている派遣社員が
いるとします。
派遣料金が3000円だとします。

この場合なら、月間で
・3,000円×8×22=528,000円
年間で、
・528,000円×12=6,336,000円

今までの8%で消費税を計算するなら? 
・6,336,000円×0.08=506,880円
10%に上がってからは? 
・6,336,000円×0.1=633,600円

633,600円-506,880円=126,720円

年間で126,720円、出費が増えることになります。

派遣社員が増えれば増えるほど、
これからはかなりの出費を
余儀なくされることになるわけです。

派遣会社に頼らないようにするために

増税を控えて、派遣会社と
あまり契約したくないなら? 
どのような作戦が考えられるでしょうか。

・派遣社員を雇っていない場合

この場合は、対処法は簡単でしょう。
正社員やパートのような直接雇用を中心に、
引き続きスタッフを募集していけばいいのです。

・派遣社員をすでに雇っている場合

派遣社員を1~2名くらいしか雇っていないなら、
特にたいしたことはしなくてもよいかもしれません。

できれば派遣社員は
使わないほうがいいとわかっていても
理由もないのに契約を
打ち切るわけにもいかない
でしょう。

派遣社員を多人数雇っているのであれば、
少しずつ減らす方向で
計画を練るのもいいでしょう。

とはいえやはり、いきなり派遣社員を
辞めさせようとすることは
避けるべきです。

そのようなことをすると
派遣会社との関係が悪化しますし、
医療機関としての評判が
悪くなってしまう恐れがあります。

すでに雇っている派遣社員については、
勤怠に問題ない限りそのまま残して、
仕事にがんばってもらうのが無難
でしょう。

ただし、スタッフが足りなくなったときは
派遣会社に追加発注するのではなく、
なるべく直接雇用で
人材を集めるようにするのが妥当でしょう。

まとめ:増税後は、派遣社員の雇用には慎重になるのが妥当

派遣会社を使うと、
自力で求人を出すよりも
楽に人材を紹介してもらえる
チャンスがあります。

とはいえ消費税が上がる今後は、
派遣会社に頼りすぎることも考え物です。

もちろん、優秀なスタッフを
確保できることもありますから、
派遣会社と契約するメリットは
これからもじゅうぶんにあります。

ただ、どれくらいの損をするのか
よく考えたほうが正解ですし、
優秀なスタッフは直接雇用で確保する
努力をすることも大切
でしょう。