集患・増患を目指す場合、
患者からの評価につながるものは、
どんなことでも気になるものです。
患者の呼び方なんて、
すごく些細な事のように思えるかもしれません。
しかしこれが話題を集めたことも
そう遠くない過去にありました。
今回は、
以前も取り上げさせていただきました
「個人情報の保護」にも
通じるテーマである
「患者の名前」について
考察してみましょう。
患者の敬称が話題に取り上げられたことがありました
まず、先生のクリニックでは、
患者をどのように呼んでいるでしょうか?
通常だったら
「名前+敬称」でしょう。
しかしある時期、医療業界では
「〇〇さま」「〇〇さん」の
どちらが妥当なのか?
その点がニュースに
なったことがありました。
「〇〇さま」という呼び方を
推奨する動きが持ち上がったのが発端ですが
結論から申し上げると
「〇〇さん」という呼び方は減っていません。
この点はアンチエイジング診療の場合でも
変わりませんし、
医療機関それぞれが自由に決めてOKでしょう。
あえて補足するなら、
自由診療のような患者満足度がカギを握る分野では
「〇〇さま」のほうが喜ばれる可能性はある
でしょう。
だからといって
「〇〇さん」と呼んでもNGではありません。
いずれにしても、
敬称のつけ方は患者の動向を材料にして、
ポリシーを決めるのが妥当でしょう。
個人情報保護のために名前を呼ばないという動きもあります
個人情報保護の観点から、
「患者を名前で呼ばないほうが
安全なのでは……?」
という考え方が出ていることを
ご存じでしょうか。
名前で呼ぶ方法が問題になるとしたら
ある程度規模の大きな医療機関が
あてはまると思われます。
たとえば、
大病院や総合病院の場合は
出入りする患者がどうしても多くなります。
それに受付も待合室も広くなります。
そのような中で、
患者を大声で何度も呼ぶと
患者側がいやな顔をすることも
あるわけです。
そこで個人情報保護の観点から
「患者に番号を発券して手渡して、呼び出す」
というやり方を歓迎する意見が出ています。
実際に飲食店をはじめとした商業施設、
役所・役場のような公共の施設では
番号制にすることで作業の効率化を
進めるようになっていますね。
このやり方には、
パネル等を掲示することで
患者に自分の順番を一瞬で伝えることができる
というメリットがあります。
しかし、メリットがあれば
デメリットもあるのが世の常です。
たとえば、以下のような点が
指摘されています。
- 耳が遠くなった患者は、
番号で呼ばれても気づかないことが多い
- 番号で呼ばれると
「人間扱いされていない気分になる」
と感じる患者は依然として多い
さて、
アンチエイジング診療や自由診療を
専門にしている医療機関の場合は、
科目を絞っていることが多いですし
患者数も限られる傾向があります。
このため、
番号制を導入する必要性は高いとは言えない
でしょう。
少なくとも
診察室やカウンセリングルームでは
番号で呼ぶ必要は全然ありませんし、
むしろ室内ではお名前でお呼びするべきです。
ただ、
お会計の際は気を付けたほうが良いかも
しれません。
患者の中には、
「その日の支払い額を聞かれたくない」
という方もいるでしょう。
自由診療の場合は
高額の支払いになることも多いですし、
「自分の名前と金額を
受付で、大声で言われたくない」
という要望があっても不思議ではありません。
このような場合は
- 金額を紙に書いて提示する
- カウンセリングルーム等で会計を行う
といった配慮をしてもよいでしょう。
スタッフへの指導ポイント
では、医療機関はスタッフに
どのような指導をすればいいのか
以下のような例を参考に指導を行ってみては
いかがでしょうか。
あだ名をつけることの禁止
これはあらゆる商業施設で起こる現象ですが、
スタッフは
「よく来る客」
「目立つ客」
に対して、なんとなく
あだ名をつけてしまうことがあります。
そして休憩時間等に、
そのあだ名を用いながら
患者の噂話をすることがあるのです。
医療機関でも、
患者にあだ名をつけてしまうことは
各地で発生しています。
しかしこれは、医療機関の代表者としては
禁じたほうが正解でしょう。
あだ名で呼んでいると、
その患者がいるときに
つい口に出してしまう恐れがあります。
もっともその患者がいなければOKとはなりません。
他の患者がいるときでもNGです。
患者の間で
「あそこのクリニックはスタッフが患者に
ニックネームをつけてるらしい」
なんて噂が広まったら、困りものです。
患者の名前を正確に素早く覚えることが大切
スタッフには
患者の名前を正確に覚えるように指導
したいところです。
人間誰しも、
名前を間違えられたらいい気はしません。
最近は若い世代を中心に、
読みにくい名前が増えていますが
どんな場合でも、
患者の名前は正確に覚えるべきです。
また、できたら患者の名前は
早めに暗記することが大事ですね。
自由診療のような
患者満足度が重視されるケースでは、
早めに名前を覚えてもらったことに気づくだけでも
患者はうれしく感じるものです。
患者の名前の呼び方をどう統一するか
患者の呼び方は、
医療機関が方針を自由に決めてかまいません。
アンチエイジング診療を標榜する場合も
それは同じです。
大事なことは、とにかく
患者が眉をひそめることがないように気配りをする
ことでしょう
個人情報保護のために番号で呼ぶ
という考え方はありますが、
それは受付に限られます。
室内では、
全スタッフが患者の名前を正確に覚えて
正確にお呼びするのが
ベストでしょう。