アンチエイジング診療を標榜する医療機関は
たくさんの法で規定されています。

有名なものに医療法がありますが、
今年の6月に施行された改正内容が
かなりの注目を集めています。

今回の改正で、医院の広告・宣伝活動に
大幅な影響が生じるからです。

新たにはじまった規制の具体的な内容とは

今回の改正では、以下の2点に
該当するものを「広告」と扱います。

  1. 患者の受診等を誘引する意図がある
  2. 医業・歯科医業を提供する者の氏名・名称、
    または病院・診療所の名称が特定可能

なお、これまでも
医療機関の広告に対して
厳しい法規制は実施されてきました。

ただしそれは、TVのCMや新聞といった
既存のメディアを用いたものが対象でした。

インターネットについては、
各ユーザが情報を探して
利用するものであるため
除外されてきたのです。

しかし今回の改正で、
ネット上の医療広告も
規制されることになりました。

医院の公式サイトの内容はもちろん、
バナー広告やリスティング広告と
さまざまな形態の広告がチェックされるのです。

口コミサイトやランキングサイトについても
医院から依頼料を受け取っている場合は
規制を受けます。

そして上記2点に該当するWeb上の広告は、
以下の規定に反しないようにする
義務が設けられました。

1.広告が可能とされていない事項の広告

たとえば
「術後生存率」
「未承認医薬品による治療内容」
等の記載が該当します。

2.内容が虚偽にわたる広告

「絶対に」
「必ず」
「確実に」
といった表現が該当します。
加工した写真の掲載もNGです。

あらゆる治療の効果に関して、
明確な根拠が要求されます。

「満足度100%」
「満足度ランキング1位」
といった表現も禁止です。

たとえアンケートや投票で
そのような結果が出た場合でもNGです。

3.比較優良広告

他の医院や他の医者との比較をしながら
自らの優位性をPRする表現はNGです。

「世界一」
「日本一」
「最高」
といった表現が該当します。

たとえ根拠があってもNGとなります。

「市内でいちばんXXXを治療した
実績が多い医院です」

なんて表現も、
調査の結果それが真実だという
結果が出てもNG。

また、「モデルがよく受けている~」といった、
有名人を引き合いに出して
患者にPRする表現もNGです。

4.誇大広告

症状や治療の効果等に関して、
実態をごまかして誤認させるケースは
すべて該当します。

医学的な根拠を交えた説明が不充分な場合も
同様に、誇大広告とみなされます。

5.患者その他の者の主観または伝聞に基づく治療等の内容または効果に関する体験談の広告

個人のサイトやSNS、
医院と無関係な第三者が運営する
口コミサイト等に
掲載された体験談は無問題です

ただし医院側が報酬等を出して
体験談を掲載させるとNGです。

6.治療等の内容または効果について患者等を誤認させる恐れがある治療等の前または後の写真等の広告

ビフォーアフターの写真・イラスト等は、
確実に効果があるものという誤解を招くため
規制を受けます。

治療内容について詳細に記載しなければなりません。
副作用や合併症といったリスクの説明や
具体的な費用の説明も義務付けられます。

このほか、以下のケースも規制対象です。

  • 公序良俗に反する内容
  • 値引きを強調するなど、品位を損ねる内容
  • 医薬品医療機器法や健康増進法、景表法、
    不正競争防止法などに違反する内容

違反しているとみなされた場合

以上の新たな法規制に抵触した場合は、
発見されるとどちらかの罰則を科されます。

  1. 懲役(6ヶ月以内)
  2. 罰金(30万円以下)

実は厚生労働省は昨年8月から、
すでに医院のネット広告を
チェックするプロジェクトを開始しています。

したがって、まだ何もいわれていなくても
新たな規制に抵触する広告を放置しておくと
突然とがめられる恐れがあるのです。

実際に6月からは、
自治体による立ち入り検査や
是正命令が進められることになっています。

厳しくなった医療法の下でどう医院をPRしていくべきか

今回の改正では、ネット上の広告で
やってはいけないことが非常に増えました。

「厳しすぎる!」という意見を持つ方は
相当に多い模様です。

だからといって、ネット上の集患を
放棄するわけにはいかないでしょう。

そこで今後は、以下のようなポイントを
心がけていくことが求められるでしょう。

1.診療内容に関して客観的な情報をもれなく伝える努力を怠らない

すべての診療内容に関して、
リスクや費用といった、患者にとって
重要性の高い情報を
包み隠していると
思われないようにすることが必須です。

2.医院の宣伝やサイトの運営を任せる業者を慎重に選ぶ

Web制作業者や医療コンサル業者は
最近は非常に増えていますね。

しかし提供してくれるサービスには
大きな差があります。
医療法についても、業者によって
理解度が大きく異なるわけです。

そこで、業者に現在の法規制について
たっぷりと質問をするなどして、
じゅうぶんな見識を持っているのか
確認してみましょう。

納得がいく説明をしてくれる業者に
依頼するのがいちばんです。

3.医院の公式サイトをはじめネット上に発信する情報について手間暇をかけることを厭わない

医師はもともと多忙ですし、
Web関係の作業は外注するのが普通です。

ただし少しでも、ネット上に掲載される
文章やデータに目を通すことで、
リスクを減らすことができるはずです。

特に文章や写真については、
慎重になるべきです。

医療の素人が書いたようないい加減な文章や
修正された写真が掲載されてしまうと
医院の評判を落とすことになりかねません。

これからも医療法は
厳しく改められる可能性があります。

さらに規制が増えても素早く対応できるように、
常日頃から、情報収集を怠らない姿勢を
持つことがベストでしょう。