経営状況をスタッフに
知らせることの利点や注意点は、
すでにこちらの記事
お伝えしております。

クリニックの収支を
スタッフに周知した結果、
売上が改善されればしめたもの。
そのことも速やかに伝えて、
スタッフたちのがんばりを
称えたいところですね。

さて、スタッフたちに言葉で
お礼を伝えることも大切ですが、
それ以外の方法で
ねぎらうことも大切でしょう。

厚遇してあげれば、
スタッフたちのやる気も
がぜん高まるものです。

人事評価の際に「売上への貢献」を有力な判断材料に加える方法

すでに人事評価制度を
導入しているクリニックであれば、
それに合わせて厚遇を
検討するほうが妥当でしょう。

現在は、人事評価制度に関する
情報が豊富です。
クリニック向けのシステムを
提供してくれるところも増えていますね。

評価システムは、
昇給・賞与・昇進といった制度と
つながっているものです。
そして、常日頃の勤務状況等を
コンスタントにチェックして、
その結果を昇給や賞与の
参考材料にすればいいわけです。

というわけで、自由診療の売上に
よく貢献してくれるスタッフがいたら、
その都度きちんと
記録しておくべきでしょう。

人事評価制度といえば
「遅刻や欠勤の回数」
「仕事の正確さ・ミスの少なさ」
といった項目を設けて、
点数等で評定していくことが多いですね。

その中に「売上への貢献度」といった項目を
新規追加するのはいい手でしょう。

こうすれば、月に1回くらいのペースで
スタッフたちの活躍を評価するのは
かなり簡単になるでしょう。

そしてボーナスの季節や
昇給を決める時期になったら、
過去数ヶ月間のデータをもとに
各スタッフの活躍に報いてあげましょう

この方法にデメリットがあるとしたら、
以下の点でしょうか。

1.人事評価制度をまだ取り入れていないなら、導入に手間暇がかかる

評価システムは、クリニックによって
望ましい運用方法が変わります。

それにシステムをつくっても、
しばらくの間は試行錯誤の時期ですね。
何度も修正を加えて最適な仕組みに
変えていかなくてはいけません。

2.すぐにスタッフたちを報いてあげられるとは限らない

賞与や昇給は通常、年に1~2回でしょう。
したがって、半年くらいスタッフたちを
待たせてしまうことになっても
不思議ではないでしょう。
昇給に関しては、3ヶ月に1回くらいの
ペースにするという手もありますが。

なお、昇給・賞与・昇進といった仕組みを
変えるときは、社会保険労務士に依頼して
就業規則に記載したほうが無難です。

貢献度に応じて「インセンティブ」を支給する方法

最近は、インセンティブや報奨金の制度を
取り入れる医院が増えています。

大まかに書くと
「何らかの条件を満たした場合に、
一定の金額を支給する」
というものですね。

たとえば、美容を追求する科目であれば、
以下のようなインセンティブを用意して
看護師の活躍に報いるという手がありますね
(すでに、各地で取り入れられています)。

  • 自由診療の契約を成立させるたびに、
    その数%を支給
  • 毎月の成約数が一定量に達したら、
    10,000円を支給
  • 患者からの指名を受けるたびに、
    5,000円を支給
  • 物販コーナーの商品をお買い上げいただけたら、
    その数%を支給

……etc.

この方法なら毎月の給与と一緒に
支払えばいいわけですから、
スタッフたちのがんばりを
1ヶ月以内に報いてあげることが可能です。

なおインセンティブや報奨金を出す方法も、
完全無欠ではありません。
デメリットがあるとしたら、以下の点でしょうか。

1.報奨する条件を、どう決めてよいかわからない場合もある

たとえば看護師や勤務医の場合は、
比較的インセンティブ制度を
取り入れやすいでしょう。

しかし医療機関のスタッフの仕事もさまざま。
インセンティブ制度を決めにくいケースも
あるでしょう。

そのような場合は、前述した
「仕事の正確さ」等を基準とした
評価制度を使うなど、
違う方法でねぎらう方法を
検討するとよいでしょう。

2.金額については、後悔しないように決める必要がある

報奨金は、安すぎるとスタッフたちの
モチベーションを刺激できません。

だからといって、高すぎるのもNG。
クリニックの経営を圧迫しない
範囲でないといけません。

そこで、いくらにすればふさわしいのか
シミュレーションを行ったほうが得策でしょう。

計算が不得手な場合は、顧問の税理士や
経営コンサルタントに相談してみましょう。

とてもシンプルな方法も、ときおり用いたほうが得策です

さてここまでは、
クリニック内の制度(人事や賃金)と
密接に関わりがあるものばかりでした。

そのため、しっかり準備をした上で
着手することが求められます。
また、社労士や税理士の力を
借りる必要もあります。

もっともそのような制度を使わなくても、
すぐにでも可能な方法だってありますね。
たとえば、「月のノルマを達成したら、
全員で外食しに行きましょう」
といったご褒美です。

この方法では、スタッフひとりひとりの
活躍を評価することはできません。
しかし逆に、受付やクラークといった
売上アップにあまりかかわらないスタッフも
一緒にねぎらってあげることが可能ですね。

何よりも、いろいろな準備をせずに
実行できるのは大きなメリットでしょう。

自院にぴったりの、自由診療の売上の還元方法を見つけましょう

自由診療の成功は、
院長自身の努力が何よりも大事ですが
同時に、スタッフたちの努力も欠かせません。

スタッフたちに強い意欲を
感じてほしいなら、やはり
「がんばったらその分院長が評価してくれる!」
と意識してくれるように仕向けること
大切でしょう。

今ならいろいろなやり方がありますから、
よく考えてどの方法を取り入れるか
決めたいところです。