「患者とうまくコミュニケーションをとりたい」
と思っているのに、うまくいかない…
そんな悩みを抱えていませんか?

「治療内容を伝えても
患者が理解できているかわからない」
「患者が緊張していて
うまく話を引き出せなかった」
などといったこともあるでしょう。

でも、患者が病院にいる時間は
それほど長くありません。

その少ない時間で
患者とうまくコミュニケーションをとり、
次もこの病院に来てもらうためには
内装や医療機器も大切ですが
コミュニケーションがもっとも重要
といえるでしょう。

そこで、今回は少ない時間で患者の心をつかむ
コミュニケーション術を紹介します。

患者の心を開かせるには、他愛もない話が必要

多くの患者は、病院に来るだけで緊張しています。

まず患者が診察室に入ってきたら、問診の前に、
少しだけ治療と関係のない話をしてみましょう。

例えば、

「今日は少し寒いですね。
外は雨が降っていますか?」

というように、天気の話をしてみましょう。
天気の話は若い方からご年配の方まで
どのような方にも使えます。

ある病院では、どれだけ忙しくても
雑談から話を始める先生がいます。

しかし、待合室に患者がたくさん待っており、
スタッフも疲れてくると患者への対応も
おろそかになっていました。

しかし、先生がいつも周りの状況に惑わされず、
マイペースで診察をしています。

初診の人にはカルテを見て、

「〇〇から引っ越してきたの?
ここは住みやすい街でしょう?」

などと、初めての人にも親しみやすい口調で
話しかけます。

そのため、この病院の待合室には
いつも多くの人が待っていますが、
そんな状況でも患者は絶えることはありません。

患者が多く、「雑談する時間がない」
という人もいますが、忙しいときこそ
この先生のようにマイペースで診察をすることも
必要になります。

患者の質問に対し、結論から先に説明する

問診で、「今日はどうされましたか?」
というように、まず話を聞くことが多いでしょう。

患者の話が終わったら、
もう一度患者のいったことを復唱しましょう。

そうすると、患者は相手に
自分の悩みが伝わったことがわかり、
安心感を得ることができます。

次は、患者の悩みに対して
結論から先に説明します。

患者が知りたいのは、
自分がどのような状態なのか、
治療法はあるのかを知りたいはずです。

例えば、

「胃が痛くなるのは、ストレスや、
食べ過ぎなどいろいろな原因があります。
過剰に胃酸が増えると胃の粘膜に炎症を起こし、
胃が痛くなることがあります…」

というように言われたらどうでしょうか?
理由を先に説明してしまうと、患者は不安になり
充分に話を理解できなくなることがあります。

そこで、このように伝えてみましょう。

「胃が痛くなったのは
ストレスによるものでしょう。
今日は痛みを抑える薬をだしますが、
次は念のため胃カメラをしておきましょう。」

と、先に今日おこなうこと、
次はどのようなことをするかを説明しておけば、
患者は心の準備ができます。

次に理由を伝えます。
なぜストレスによるものと考えられるのか、
なぜこの薬を出すのか、
胃カメラはなぜ必要なのかについて説明します。

この順番を行うことで患者の頭の中が整理され、
冷静に話の内容を聞くことができます。

患者の質問にはYES・NOだけではない説明を

病院に不満をもった患者は、
満足いく説明を得ることができなかった
という方が多いです。

例えば、注射をおこなった方が
「今日はお風呂に入っても大丈夫ですか?」
と患者に聞かれたとき、どう答えていますか?

「今日はやめておいてください。」など、
否定的な言葉で答えていないでしょうか?

もちろん患者が知りたいのは、
お風呂に入っていいかどうかです。

しかし、ダメですといわれると
「なんでダメなんだろう?」と思う方も
いるのではないでしょうか。
そこでこのように答えてみましょう。

「症状が悪化するかもしれないので、
今日はやめておいてくださいね。」

「お風呂に入りたいですよね。
でも明日にしてくださいね。」
と、あなたの気持ちもわかりますが、
こういう理由でやめておいた方がいいですよ、
ということを伝えるようにしましょう。

このような受け答えをするだけで、
患者思いの優しい先生だと思われます。

少ない時間でも患者の気持ちを理解するコミュニケーションが必要

少ない時間だからといって、
患者に忙しいという雰囲気を感じさせないように
しましょう。

少ない時間だからこそ、
無駄のないコミュニケーションが必要です。

もちろん、他の患者もいるので
適度に時間を切ることもあります。

でも、患者が安心して診察を受け、
納得いく説明をするためにはコツが必要です。

もし、一度で患者が納得いかなければ、
別の日に診察日を設けたり、
わかりやすい資料を用意するのもいいでしょう。

患者が病院を出たら
スッキリした気持ちで帰ってもらうということを
常に頭の中に入れておきましょう。